危険な愛を抱きしめて
「……雪。
 今日、あなたは家庭教師が来る日だって言ってなかったっけ?
 寄り道して、大丈夫?」

 ……おお。

 すっかり忘れていた。

 多分。

 苦い顔をしているだろうオレに、由香里が助け舟を出してくれて、ようやく思い出した。

 そういえば、そんなヤツが今日……って。

 オレは、そんな話を由香里にしてたっけ?

 まあ、いいか。

 オレは、残念そうな顔を作って、アヤネに言った。

「……悪い」

「でも、でも!
 少しだけだったら……」

「……新しい家庭教師なんだ。
 初日から、待たせるわけには、いかないだろう?」










 
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