私は先輩の浮気相手。
店長は深く頷いて、腕組みをした。
「何かさっきカップルが来てさ…。
別れた瞬間らしくて、このチケットくれたんだけど。
私の女房はもう死んでいてさ。
困ってたんだよ」
あり難く受け取ると、先輩はそのチケットを見て、一瞬だけ凍り付いていた。
「先輩?」
「あの…この遊園地って、10年前出来たところですか?」
「あぁ。そうだよ。10年前、怪我した子がいたなぁ」
真っ青な表情になった先輩は、少しだけ震えていた。
「せ、んぱい…?」
「あ…ううん。何でもないよ」
またいつもの笑みを浮かべられて、それ以上何も聞けなかった―。