鈴木くんと彼女の不思議な関係

 放課後の教室の真ん中で、清水は俺の胸に抱きついておいおいと泣き出した。何がなんだか分からんぞ?
 俺は助けを求めて教室を見回したが、教室に残っていた結構な数のクラスメイト達は、あっけにとられて俺達を見ているばかりだ。
 布施が『清水を抱き締めろ』とジェスチャーする。いや、そういうんじゃないんだよ。俺達は。

どうしたら良いのか分からないまま、とりあえず清水の頭を撫でる。
「そんなに好きだったのか。」多恵の事。。
「ちがうわよっ!」

分かったから、怒るなよ。あぁもう、俺にどうしろって言うんだ。

「あんたが、、多恵が、、あんたのこと。。。」

嗚咽の合間から、何かを一所懸命伝えようとしてくれる。もしかしたら、俺のために、清水は泣いてくれているのか。

「そっか。ごめんな。。。。俺なら許すって言ってくれてたのにな。」
「だからっっ」

清水はもう何も言わなかった。ただ俺の胸で泣き続ける清水の背中に、俺はそっと腕を回した。

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