鈴木くんと彼女の不思議な関係

 突然、弾かれるように動き出した俺は、どういうわけか、清水に本当にキスしてしまった。しかも噛み付くようなディープキスを。清水が驚いて手足を強ばらせる。頼む、もう少しこのまま。このまま何なんだ??

 長い長いディープキスのあと、俺は何がなんだかわからなくなって、とにかく、彼女の腰から短剣を引き抜き、彼女の手に持たせて、一気に胸に突き立てた。
 なんか、台詞をいくつもすっ飛ばしてしまったような気がするが、もうどうしようもない。というか、どうでもいい。あとは清水の上に倒れ込めば、俺のやる事は終わりの筈だ。物語の終焉を知らせる音楽が大音量で鳴り響いた。

 やがて音楽が切り替わり、乳母や牧師が死んでいる俺達の周りに登場してのエンディングの後、ゆっくりと幕が降りた。

 緞帳は一旦下まで降りた後、またすぐに上って、カーテンコールが始まる。清水は素早く立ち上がり、何事もなかったような顔で微笑んでいるけど、俺は脱力してしまって、へたり込みそうだった。布施に支えられて、茫然としたまま立ち上がったとき、不意に耳打ちされた。

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