鈴木くんと彼女の不思議な関係

清水は慌ててポケットからハンカチを出して自分の口を拭き、無言で立ち去った。やっぱり、怒ったかな。怒るよな。普通。。

 体育館外の駐車場にクラスメイトが集まっている。大道具を片付ける前に記念写真を撮るのだ。クラスメイトが俺に話しかける。

「最後、台詞がいくつか飛んでたね。やっぱり緊張したの?」
「ああ。ごめん、緊張して、よく解らなくなっちゃって。」
「でも、無事終わって良かったね。お疲れさま。」
「あぁ、お疲れ。。」

 みんな、気付かなかったのかな。誰もそれらしいことをいうヤツはいない。なんとなく落ち着かなくてキョロキョロしていると、清水に頭を叩かれた。清水が手を振る先に、多恵と川村がいた。そう言えば、多恵も見ていたんだったな。すっかり忘れていた。

 そう、すっかり忘れていたのだ。多恵が見ていると言う事を。

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