恋の魔法と甘い罠~おまけSS
晴希さんが指差した場所には口紅とファンデーションがべっとりとついている。


声を抑えられなくて、あたしが故意に唇を押し付けたからだ。



「俺、午後イチで得意先に行かなきゃならねーんだよなー」


「……」



さっきまで抱き合ってました! と言わんばかりに主張しているその生々しい痕を得意先で見せるわけにはいかない。


どうすれば……。



「あ、あたし、今から買ってくる!」


「あと五分しかねーよ?」


「え!」



一番近いデパートまで走って五分。


絶対に間に合わない!


どうしたらいいの!?


けれど、晴希さんはこの状況に危機感を感じていないのか、くすくすと笑い始めて。
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