予感
それでもここに到着するのはせいぜい20分前くらいだけど。


そんな事を考えながら着席して端末を立ち上げ、出勤の処理をし、次いで紙袋を再び手に取った。


「何ですか?それ」


ガサガサいわせながら口を開けていると、お茶の準備を終えたらしい慧人が、隣の席に腰を落としながら問い掛けて来た。


「じゃじゃじゃじゃーん!」


レトロな効果音を発しながら、オレはそれを掴んで頭上に掲げる。


ザ、ペロペロキャンディーちゃんを!


ちびっ子の憧れ、ペロペロキャンディーちゃんを!


「実家からの荷物の中に入ってたんだ~。母ちゃんが一目惚れして、思わず買っちゃったみたい。それのお裾分けだって」

「…そ、そうですか…」


慧人は愛想笑いを浮かべながらスッと視線を外した。


なんだいなんだい、ノリが悪いな~。


ぐるぐるうずまいてんだぞ!


ピンクとかグリーンとかイエローとか、ポップな色彩で構成されてんだぞ!


これぞまごうことなきペロペロキャンディー!


キングオブペロペロキャンディー!


その価値が分からないヤツには、何を言っても無駄だね。


自分のお家にお帰り。


「んふふ」


思わず笑いを漏らしながら、ラッピングのリボンを解いて、ビニールをぺりぺりと剥がす。


まずはペロリとひとなめ。


ん、うまい。
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