腹黒王子に秘密を握られました
 

「え! プロポーズ?」

びっくりしてお父さんを振り返ると、さすがに照れくさいのか険しい表情で頷いていた。

「そうそう。お母さん元々広島で生まれ育ってね、大学で東京に出てきてそのまま東京で就職しようと思って就活してた時に、同じ大学に通ってたお父さんに出会ったのよ。お父さんは卒業したら地元に帰って林業継ぐって決めてたから、好きだけど結婚して田舎の山奥に嫁にいくなんて絶対イヤだと思ってたんだけど、プロポーズが素敵すぎてつい絆されちゃってね」

そんな両親の馴れ初め、はじめてきいたわ。

「俺が地元で育ったいい木を使って立派な柱のある家を建てるから、お前が笑い声が絶えない家庭を作ってくれって。笑い声を聞いてきた柱はいつまでも優しく家を守ってくれるから、ふたりでずっと住める温かい家を作ろうって」

「ふわぁぁーーーっ!! お父さんがそんなことを!?」

武骨で無口なお父さんが、そんなプロポーズをしたなんて!
聞いてて照れるわっ!

「かっこいいですね、お父さん」

「素敵でしょ。まぁその三十数年後、うちの柱は私が娘を怒鳴る声ばかり聞いてるわけだけど」

わかってるなら少しは私に優しくしてくれればいいのに。そう思いながら頬を膨らませると、お母さんは縁側に立つ一本の柱を眺めて目を細めた。

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