腹黒王子に秘密を握られました
「柴崎くん、寂しかったんだね」
「なぐさめてくれます?」
「いや、それは……」
視線を天井からこちらにうつして、じっと私の目を見る。
柴崎くんの大きな瞳に見つめられ、思わず椅子ごとじりじりと後ろに下がると、こつんとなにかにぶつかった。
驚いて振り向くと、ちょうど事務所に返ってきた金子に椅子のキャスターがぶつかったようだった。
「あ、すいませ……」
「お前ら、あんまり事務所でいちゃつくなよ」
スーツの上に着ていたチェスターコートを脱ぎながら、あきれたようにため息をついた。
「い、いちゃついてなんて……っ!!」
ムキになって反論しようと口を開いた私を無視して、さっさと歩いて行ってしまう金子。
あまりにも無関心なその様子に、ずきんと胸が痛くなる。
「さすが金子さん。友野さんと俺がいちゃついてても顔色一つかえないですねー。ちょとくらい動揺してくれてもいいのに」
金子の後姿を見ながら柴崎くんはつぶやく。
「金子さんって完璧すぎて、なんか人間味ないですよね」
「別に金子さんは、完璧なんかじゃないよ」
人間味がないどころか、クセがありすぎる性悪男だ。
あんな人のよさそうな顔して、実は腹黒だし、短気だし、すぐ手が出るし。