運命の出会いって信じますか?
「こっちの書類とつじつまが合わないからおかしいと思っていたの。処理しないで良かった。」

私もいろいろな面で増本君に迷惑を掛けているので、お互い様だ。

その後、諸々の打ち合わせを終えると、増本君はいつものように笑って営業に出て行くのかと思った。

「野々村さん。」

「えっ?まだ何かあった?」

私はデスクのパソコンから目を離して、立っている増本君を見上げた。

「日下さん、帰って来るんですよね?」

私は目を見開いた。

「増本君がどうして知っているの?」

確かに増本君は英輔がまだここに居る時に、英輔の下について仕事をしていた。

英輔の直属の部下だと言っていい。

英輔がタイへ赴任する時に、増本君が英輔の主要な仕事を引き継いだ。

だから事務の私も増本君とコンビを組むことになったのだ。

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