運命の出会いって信じますか？
私は軽く笑う。

柏木さんとお姉ちゃんは私達の様子を楽しそうに見ている。

「分かってないな、華。増本が送ってくる写メの雰囲気が半年ほど前から変わって来たんだよ。」

英輔はつまらなそうに話す。

「それまでは仕事姿の華の真面目な表情ばかりだったのに、ここ半年は何か雰囲気の良い華の姿ばかりだった。きっとそれだけ華の事を意識していたんだろう。絶対その写メはあいつのスマホに残っているはずだ。」

私はそんな写メを取られていた事すら気が付いていなかったのに、そんな事を言われても…。

私は複雑な表情しか出来ない。

「まあ、お前が増本の気持ちに気が付いていなかったのならそれで良い。」

ムスッとした英輔の顔が少し赤みを帯びたような気がした。

「…もう華は俺のものだから。」

そしてぐいとビールを飲み干した。

柏木さんとお姉ちゃんが温かく微笑んでいる。

< 237 / 478 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop