運命の出会いって信じますか?
まだ真先は目を覚ましていないようだ。

外を見ると、見慣れた風景。

その時に次は名古屋に止まるというアナウンスが流れた。

寝過ごさなくて良かった。

私はそれほど正体なく眠り込んでいたようだ。

慌てて降りる準備を始めた。

ここで真先が起きてぐずられても大変なので、それに気を付けて新幹線を下りた。

ああ…。

新入社員の研修の帰途、ここで岐阜へと向かう英輔と別れたんだっけ。

私は思わず立ち止まる。

ここで英輔に連絡先を聞かれたんだっけ。

もう10年も前の話になってしまったな。

そんな感慨にふける。

急に火がついたように真先が泣き始めた。
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