運命の出会いって信じますか?
私は真先を何とか受けとめると、ぎゅっと胸に抱いた。

この子は何かお父さんに起こる事を感じていたのかもしれない。

それなら英輔は…。

もう私は何も考えられなくなった。

ただ本能的に真先を抱いているだけ。

お姉ちゃんは何度もお兄さんに電話をしているようだが、なかなかつながらないようだ。

その間に寝足りなかったのか、私の胸の中でまた真先は眠り始めた。

それでも完全に眠りきれないようで、身体を揺らしては目が開いてしまうようだ。

「華、あなたも少し横になりなさい。」

お母さんは私に優しく語り掛けた。

「真先のそばに添い寝をするだけで良いから。」

私には多分表情が無かったんだろう。

お母さんは私の顔を覗きこんで、もう一度言った。

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