運命の出会いって信じますか?

「違う。確かに生都くんには助けてもらっている。でも…。」

「華さんは英輔さんを亡くした事を今でも乗り越えられずにいます。」

凛とした生都くんの声が響いた。

「だから英輔さんと過ごした、そして英輔さんを失った名古屋には帰れないんです。分かりますか、そんな華さんの気持ち。だから仕事と真先くんの世話に没頭して…。私はただそんな華さんの手助けをしているだけです。」

はっと息を飲む声が聞こえる。

「産まれてくる子が男なら瑛吾(えいご)と名付けたいそうです。」

生都くんは当てた漢字を説明する。

「瑛吾のえいの字には英輔さんの英の字が入っています。この子は間違いなく英輔さんの子供で、まだ華さんが英輔さんの字の英をそのまま使えなかった胸中を分かってもらえませんか?」

私はあふれる涙をこらえるために、布団に顔を隠す。

私が言えなかった事をそのまま伝えてくれた生都くん。

みんなが黙り込んでしまった。

そんな静けさを破ったのは、英輔のお母さんの声だった。
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