運命の出会いって信じますか?
お母さんは困ったように、でもクスリと笑う。
「自由に育て過ぎちゃったのかもしれないわ。華もこういう子ですけど、よろしくね。」
そんな家族の様子に、私は溜息をつく。
「行って来ます。」
そこで私は靴を履き、玄関を開けた。
その後をお母さんとお姉ちゃんに頭を下げながらついて出てきた日下君。
「ごめんね。うちの家族、いつもあんな感じなの。特にお姉ちゃん。」
彼が私の横に並んで歩き出すと、私はそう言った。
「良い雰囲気じゃないか。言いたい事を言い合える家族って良いじゃないか。」
楽しそうに彼は微笑んでいる。
「野々村の原点を見たような気がする。」
そんな彼の言い方に、私が顔を引きつらせながら言った。
「日下君はいつも一緒じゃないからそんな事言えるのよ。」