運命の出会いって信じますか?

「ああいう家族に育てられると、こうなっちゃうのかもしれないね。特にお姉ちゃんはきれいで頭も良くて、あんな風に自分らしくて…。いろいろコンプレックスなのよ。」

私がずっと姉にコンプレックスを持っている事を、他人に話したのはこの時が初めてだったように思う。

その相手となった日下君は驚いたように私を見た。

「お姉さんはお姉さんで、野々村は野々村だろう。比べるなんておかしな事だと思うけどな。」

「あっ…。」

その時、私の気持ちがものすごく軽くなったのを感じた。

日下君の何気ない言葉に、肩の力がスッと抜けたような気がした。

何となく気恥ずかしかったけど、私は正直にこう言った。

「ありがとう、日下君。」

もっともっと今の自分の気持ちを表現するのに、たくさんの言葉が必要だったように思う。

それ程彼の言葉は私の中に自然に入って来たのだ。

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