運命の出会いって信じますか？
でもちゃんと柏木さんの気持ちを聞きたかった。

「これは陽さんにも話していないんだけど…。」

柏木さんがふと横に居るお姉ちゃんに視線を向ける。

「私は陽さんの事を前から知っていたんだ。うちの会社と陽さんの証券会社は取引をしていてね。その関係で相田部長とは懇意にしてもらっている。」

相田部長はお姉ちゃんの不倫相手。

「その相田部長はお酒が入ると必ず話す事がある。それはある女性の事。部長はその女性をとても大切に思っているのを感じていた。でもそれは遠い昔の思い出話かと思っていたんだ。そう、淡い初恋のような…。」

お姉ちゃんは凄く驚いた顔をしている。

柏木さんの話は続いて行く。

「たまたま相田部長を訪ねて私が陽さんの証券会社に赴く事が有った。そこでお茶を出してくれたのが陽さん。二人は一瞬だけど目を合わせたんだ。すぐにいつも話す女性は陽さんの事だと分かった。相田部長の陽さんの見る目が何とも優しかったからね。」

私は目を見開きながら、その話に引き込まれていった。

「私の方はその時陽さんに全くの一目ぼれだったんだ。あの相田部長にあんな表情させる陽さんに引かれてしまったんだ。相田部長には悪いと思ったけど、私は直ぐに陽さんと何とか接触できないかあがき始めた。それであのお見合いにこぎつけた。」

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