恋の魔法と甘い罠Ⅱ
彩葉ちゃんに包まれた温もりを感じながら、



『泣きたいだけ泣いてしまえよ』



いつか晴希さんが言ってくれた言葉を思い出す。


あのときは晴希さんがこうやってあたしを包んで慰めてくれた。


なのに今は……。


またさっき目にしてしまった光景を思い出して、溢れだす涙はさらに勢いを増す。


晴希さんのことを信じていたいのに、どこか信じられなくなっている自分が嫌だ。


晴希さんに問い詰められれば楽になれるかもしれないけれど、もし、万が一はっきりと否定してくれなかったら?


そう考えると怖くて訊くことが出来ない。



髪をそっと撫でられる感覚に少しずつ気持ちも落ち着いてきて、いつの間にか涙が止まっていた。
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