恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「そんなに慌てんなよ」


「慌てるよ」


「何で?」


「だって、誰かに見られたりしたら……」


「噂になるって?」


「うん」



そう言いながらこくんと頷くと、朔はふっと笑う。



「俺は構わねえけど」


「え」



頷いたまま伏せていた顔をあげると、真っ直ぐな瞳があたしの方を向いていて。



「俺、何度も何度も後悔したよ」


「朔?」


「玲夢と別れたこと」


「……」


「あのとき、何で手を離しちまったんだろう。遠距離でもやれたんじゃねえかって」


「……」



朔からの思いがけない言葉に息が喉の奥でぐっと詰まる。


だって、あの頃はあたしも後悔していたから。
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