恋の魔法と甘い罠Ⅱ
◇◇◇



「ねえ、あなた」



一時間残業したあと、エレベーターで一階に降りてロビーを歩いていたら後ろから聴こえてきた声。


あたしにかけられた言葉ではないかもしれないのに、無意識にその声の方へ振り返っていて。



「鮎川さんだっけ? 経理課の」


「……はい」



どうやらあたしに声をかけたらしい。


けれどあたしは振り返らなければよかったと思ってしまった。


だってそこにいたのは、あまり会いたくないと思っていた石崎さんで。


しかも、あたし敵視されてる? と思ってしまうほどに鋭い視線を向けられていて。


無意識に一歩後ずさってしまった。
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