恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「近くに住んでいながらここに入ったのは初めてなんですけど、雰囲気がまったりとした感じで凄くいいですね」



ぐるりと店内を見回しながらそう言う課長に、凪さんは口許を緩ませる。



「ありがとうございます。カウンター席とテーブル席、どちらがいいですか?」


「えっと……」



隣を見上げると、課長もあたしの方を見ていて。



「テーブル席でもいいか?」



これから話す内容があまり聞かれたくないものなんだろう。



「はい」



そう言うと、テーブル席に案内された。


課長は生ビールを、あたしはカシスオレンジ、そしてちょっとしたおつまみも注文する。


ちらりと課長を見上げると、課長は小さく息を吐いたあとゆっくりと口を開いた。
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