恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「どうした?」



そんなとき心配そうに眉を下げながら顔を覗き込んできたのは朔。


涙を見られたくなくて慌てて顔を伏せたけれど、その前に目があったからばっちり見られたと思う。



「何でもないよ」


「んなわけねえだろ? 泣いてるくせに」


「……」


「……彼氏にちょっかいだしてる女がいるんだろ?」


「え」



予想外の朔の言葉に俯いていた顔をぱっと上げる。



「俺、あの日本当は見てたんだよ」


「あの日?」


「玲夢が会社のロビーで泣きだしてしまった日」



それって、石崎さんに呼び止められたとき?


石崎さんが去っていってから朔が来たと思っていたけれど、本当は最初からその場にいたってこと?
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