恋の魔法と甘い罠Ⅱ
そしてドアがガチャンと閉まると、晴希さんは振り向くことなく口を開く。



「アイツと二人で飲みに行ったのか?」


「え」


「さっき言ってただろ?」


「……」



それって……。



『二人で飲みに行ったときに気分悪くなったのはそのせい?』



朔のこの言葉のことだよね?



「うん、行った」


「……」



訊いてきたのに口を閉ざしてしまった晴希さんに、どうしていいのかわからなくなる。


それに始業時間まであと七分くらいで。


早く戻らなければならないのに。



「晴希さん、そろそろ戻らなきゃ」



そう言うあたしにちらりと視線を寄越してきた晴希さんだけれど、その瞳はとても冷たくて。


ずきんっと胸が痛む。
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