恋の魔法と甘い罠Ⅱ
確かに、そうかもしれない。


でも、あたしだって、あのときは辛くて悲しかったんだもん。


何も言えずに顔を伏せていると、凪さんの呟くような声が耳に届いてきた。



「はや……」


「え?」


「最短記録かもな」



何のことを言っているのかわからず首を傾げるあたしに、凪さんはふっと笑う。



「最短記録も何も、記録なんてとったことねーだろ?」


「え!?」



今度は後ろから、いるはずのない人の声が聴こえてきて、ぱっと振り向く。



「は、晴希さん!?」


「何でこんなとこにいるんだよ?」



じとっとした瞳を向けながら、晴希さんははぁーっと溜め息を吐く。
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