恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「それでさ、泊まり込みになりそうなんだ」


「え、珍しいね」



基本的に晴希さんの出張は日帰りが多い。


近場だということもあるけれど、それよりも晴希さんが段取りよく交渉を終えてくるからだという噂もある。


本人にそんなことを訊けるわけがないから、本当のところはどうなのかわからないけれど。



「俺一人なら日帰りで十分なんだけどさ」


「一人じゃないの?」



いつもはだいたい一人か、あたしと同期の入社四年目の鷹山(タカヤマ)くんがついていっている。



「ん、今回は新入社員も連れていって色々叩き込むことになっているんだ」



その一言に、あたしの動きは一気に固まる。
< 72 / 491 >

この作品をシェア

pagetop