Engage Blues










 あとは、もうなし崩し的のような。


 慶さんの返事に、しばらくしてから実感がわいた。家につく頃。




 わたしの嘘を許してくれて、ありのままを受け入れてくれた。

 嬉しくて、ぼろぼろと大量の涙があふれて止まらない。
 ずっと肩を抱きながら、慶さんは涙を指先で拭ってくれた。



 それが、唇になってキスされて。



 気がついたら服を脱がされ、ベッドの上にいた。






「ん……」

 深い口づけのあとに、身体のあちこちに唇を押しつけてくる。

 特に、手足を丹念に舐めあげられた。
 優しい感触に首を竦ませる。


「や……慶さん、くすぐったい」


 首筋や耳にまで舌をなぞるように這わせ、淡い刺激しか送ってくれない。
 指先も優しく唇で拭われ、どうしていいかわからない。


「消毒」


 あ、かすり傷のことをすっかり忘れてた。


 大したことないけど、このままではまずい気がする。
 上体を起こして抵抗してみた。



「だったら、せめてお風呂……」

「駄目。もう待てない」


 体重をかけられ、あっさりと押し戻された。


 また口を塞がれ、きつく吸われる。





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