Engage Blues





 その内、慶さんが苦しげに訴えてきた。


「梨花……力、緩めて」

「えッ、な……に?」


 顔をしかめ、懇願された。
 でも、どうしていいかわからない。



「梨花の中、強く締めつけてくる」



 耳元で囁かれ、頬を舐められる。
 今度は言われたことを理解できた。

 それでも、身体の自由が利かなくて。



「梨花」

「む、りぃぃぃぃ……」


 優しげなかすれた声でさえ反応してしまう。


 意識するってことは、力を入れちゃうってことで。

 より彼を感じてしまい、さらに強く意識してしまうという悪循環。

 気を抜くとすぐにでもイッちゃいそう。
 男の慶さんはもっとつらいに違いない。

 奥歯を噛み締め、必死で快感をこらえてる。


 その表情がセクシー過ぎて、また深く彼を感じてしまう。



「あッ」


 慶さんが腰を揺らし始めた。


 きっと我慢の限界だったと思う。
 慶さんは堰を切ったように、がむしゃらに責め立ててきた。



 こ、こんなの初めて。

 強く中を突かれて全身の力が抜ける。
 脳に直接、電流を流されたみたいに、足がガクガクと震えた。





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