Engage Blues





 フロアの近くにあるお手洗いに向かう直前、剥き出しの太い柱の影へ隠れる。
 急な進路変更に子トラ兄弟は焦り、小走りで駆け寄ってきた。



「あれ?」

「見失った?」

 柱と接するように置いてある靴の棚へ回り込み、子トラ兄弟たちの死角へ入る。
 ただ単に障害物を利用して彼らの背後を取っただけ。

 きょろきょろ周辺を探す双子たちを尻目に、カッとヒールを鳴らしてみる。


「子トラ兄弟~、あんたたら何ばしよっとねぇぇぇぇッ」



 という、どこかもわからない方言で脅しをかけるのが精一杯だった。










< 43 / 141 >

この作品をシェア

pagetop