Engage Blues
腕組みして、そっけなく呟く。
「悪いけど。私、そんなのに興味ないの」
「えッ……でも、梨花嬢は凰上家の次期師範では?」
「梨花姐さんが凰上家で最も強いんスよね」
だから、跡継ぎとして選ばれた。他家と試合をして、その実力を知らしめろ。
そんな時代錯誤も甚だしい掟、承伏した覚えはない。
「道場なんか継ぐつもりないわよ。武術も嫌々習わされたんだし……わたしの実力は、どうだかわかんないわ。四人の兄貴とは、もうしばらく手合わせしてないしね」
稽古をサボってるわたしより、強い人間はいるかもしれない。
暗に拒絶の意志を匂わせると、双子は肩を落としておとなしくなった。
仕方がないので果たし状を鞄の中に突っ込む。
このまま返しても彼らが怒られるだけだろう。
「そういうわけだから勘弁してね。お姉さん、急いでるのよ」
長居は無用とばかりに踵を返して、歩き出す。
だいぶ時間を浪費した。急がなくては。
と、また駆け出せば後ろ手に手を取られた。