私は、アナタ…になりたいです…。
河佐咲知と別れて自己嫌悪に陥った。

彼女の姿に亡き母を重ねるなんて最悪の気分だった。

それを悟られないように…とキスを重ねた。
震える彼女の体を抱きしめながら、背中は恐怖と戦い続けていた。


小さな彼女が愛おしくもあり恐ろしくもあった。
母のように亡くなってしまわないか、不安で堪らなかった。


想いとは裏腹に心は押し潰されそうだった。
河佐咲知という女性を知って、母への懺悔は膨らむ一方だった。


(やたらと手を出すのは止めよう。彼女に対しても失礼だ…)



今日のことは酔った上でやったことーー。
それくらいの気持ちでいようと思った。

それがどんなに彼女の気持ちを傷つけるか、そこまでの配慮は、僕には出来ていなかった……。



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