私は、アナタ…になりたいです…。
「いらっしゃい!」
威勢のいい男性の声が聞こえた。
私の目には背の高い田所さんの背中が映ってるだけで、中の様子は分からない。
店主らしき人はガラス戸の外にいる私に気づかず、彼に向かって話しかけた。
「悠ちゃん久しぶり!」
「一週間ぶりのお出ましね!」
威勢のいい女性の声もする。
田所さんは「こんばんは」と挨拶をして、私を中へ招き入れた。
「あらぁ…!」
目の前に立っていた白の三角巾を被った女性が声を跳ね上げた。
「ほぉ〜」
カウンターの中にいる白い上着を着た店主らしき人も感心した様な声を出す。
二人の眼差しに同時に見つめられた私は、その視線をどう避けようかと戸惑った。
「悠ちゃん、今日は女連れかい?」
「可愛いお嬢さんだね〜」
三角巾の女性は、まじまじと私のことを見つめた。
あまりに凝視されるものだから、思わず田所さんの陰に引っ込んだ。
「女将さん、あんまり見つめないでやってよ。怖がるから」
楽しそうに話す田所さんは、二人の視線を気にせず前へと歩く。
店内には白木でできたテーブルセットが三脚並んでいた。右側には小上がりがあって、お座敷のような雰囲気になっている。
黒の長方形のローテーブルが二脚置いてあり、障子を張った格子スクリーンで仕切れていた。
お客さんはテーブル席とお座敷の奥に一組ずついた。