強引上司とオタク女子
「来るか来るかと思って待ってたら遅くなったじゃねぇかよ」
「はあ」
誰が待てと言ったよ。勝手に先にいきゃいいじゃん。
不審な眼差しで彼を見ると、私とは対照的にとてもごきげんな様子。
「なんなんですか」
「同じ会社だし一緒に行こう」
「嫌ですよ。彼氏でもないのに」
社内で噂になったらどうしてくれる。
大体、あなただって梨本さんに見られたら困るんじゃないのかよ。
「じゃあ、付き合うか? 俺はいいけど」
「はあ? あなた昨日ふられたばっかりじゃないですか。適当なことばっかり言うのやめてくださいよ」
いちいち不快な男だ。人のことからかうなよ。
「そう振られた。可哀想だと思わない? 慰めが必要だ。だから」
手を掴まれる。思わずぎょっとして手を振るも離れない。
やめてよ、こういうのってセクハラだからね!
「他あたってください」
「硬いな、川野。やっぱり男いるのか」
「いませんって」
うるさい、しつこい。
ああもうやだー、誰か助けてー。
逃げたい。御影石くんに会いたいー!
「私とあなたでは、住む次元が違うんです!」
思わず、そう言っちゃった時の、国島さんの顔がすごかった。
目を丸くして驚いたかと思うと、次の瞬間大爆笑。
私は体中の血液が顔に集まってくるのを感じつつ、体全体でタックルをかまし、国島さんが手を緩めた瞬間を逃さず走って逃げて、別の車両からちょうどやってきた電車に乗り込んだ。
くはあ、何言ってんだ私。
確かに私は二次元の住人だけども。
あの言い方では一般人には通じないから。
滑りだした電車の窓から、未だホームで笑っている国島さんが見えた。
ちくしょー、やっぱりからかってんじゃん。
ああもうやだー。
会社行く前にヨーグルト買おう。
御影石くんの抱きまくらを当てて、毎日癒やされたい。
ヨーグルトの蓋に書いてあった詳細によると、応募は二十点から。
今月はヨーグルト漬けになる覚悟を固めた。