強引上司とオタク女子


「昨日言ってたろ。誰とも付き合う気ないって。お前の年頃でそういう事言う奴って大概仕事に熱中しているもんだけど、川野は仕事もそんなにのめり込んでないよな。だから男がいるのかと思ったのに、いないっていうだろ? 気になるんだよなー」


なんなんだよ、この人。
探偵か。私の事なんてどうでもいいじゃん。


「恋愛なんてしたって、傷つくだけじゃないですか。私はいいんです。国島さんこそ、早く新しい恋愛したいなら私なんかに構わずもっと女子力高い子とどうぞ」

「でもお前が面白いなぁって思っちゃったしな」

「面白いで決めないでくださいよ。大体、軽すぎでしょう。昨日振られたばっかりで次お前って言われても本気だなんて思えない」

「美……梨本のことなら、もうだいぶ前から諦めはついてたんだよ。だって転勤してきたのに連絡もとれないんだぜ? 察しはつくだろ。ただ、自然消滅として片付けるには今は近くにいすぎるから、ちょっと問い詰めてみただけだ。もう昨日で綺麗さっぱりスッキリしたよ」


よく言う。
壁ドンまでしておいて。


「だから前向きに考えてみれば。俺、優良物件だぜ?」


確かに、仕事しなくても養ってはくれそうだ。

いやいやいや、そういうことじゃなくてね。
私はリアルに恋愛とか無理なの、向いてないの。

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