強引上司とオタク女子

会社から十分ほど歩いたところにある【BlueBird】という店で待ち合わせにした。

イタリア人シェフが経営しているのだけど、本格派というよりは日本人向けにアレンジした感じが強くて、私は好きな店だ。

窓際に座っていた明日美を見つけて慌てて中に入る。


「明日美、昨日ごめんねー」

「ううん。八重ちゃんのお仕事は大変だもん。大きなイベントするんでしょ?」

「でも私は裏方だし。派手に表に出るのは一部の人だけだよ」


そんな会話をしながら、席につき注文する。


「ところで昼間の写メどうしたの?」

「画材用具が欲しくて買い物に出たら、近くのカフェで、ミカゲフェアがやってたの。中にパネルとかも貼ってあった。限定一ヶ月だって」


明日美の御用達のお店はオタク内では有名な画材店で、近くにはそんな趣向の人たち向けの店がいっぱいある。


「うっそ。知らなかった」

「告知してなかったみたい。周りにいる人、皆偶然見かけたみたいで。でも今日だけで随分拡散しちゃったんじゃないかな」


イマドキのSNSの広がりは半端ないしな。今ツイッターとか見たら話題になってそう。


「私も行きたいなぁ」

「ね。知ってたら八重ちゃんと行ったのに。週末行く?」

「でも明日美は今日行って来たんでしょ?」

「何度行っても飽きないもん」


ニッコリ笑ってくれる明日美が可愛い。
うもう、大好き!

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