強引上司とオタク女子
「私は恋愛なんかしたくないんです」
「だからそれがわかんねーってんの」
「国島さんに関係ないでしょ」
「でも俺はお前が気になってきたんだから仕方ないだろ」
「知らないし。構わないでください」
あまりにもイライラするから、ふくらはぎの辺りを蹴りつけてから走る。
「イテッ、ちょ、待て」
「嫌です!」
上司になんてことをと思うけど、国島さんがあまりに失礼だからいけないんだよ。
走って逃げよう。
明日怒られそうになったら、酔ってて覚えてませんで誤魔化せばいい。
しかし明日まで彼は待ってくれなかった。
あっさり追いつかれて、腕を掴まれる。
「逃さないって」
「やっ」
「付き合ってる男も好きな男もいないなら、俺の入る余地あんだろ」
何だその理論。
ないよ、そんなもん。
ふっと、顔の前に影がかかり、目の前に顔が近づいてくる。
げ、ちゅーされるの。
咄嗟に彼の顔に両手を押し付ける。
鼻息が手のひらにスカスカかかる。なんとなく汚くて嫌だ。
「やだってば。ファーストキスに夢くらい持ってる」
奪われるとか絶対にないわ。
しかし私の抵抗にも鼻息荒く向かってくる国島さん、まるで野獣だ。
「初めてかよ。余計そそる」
フガフガしながらそんなこと言われても格好つかないよ、野獣。