柚と柊の秘密
俺は柚が落ち着くのを待って、話を聞いた。
てっきり優二かと思ったが、そうではないらしい。
どうやら、柳健吾という男のせいらしいのだ。
柳。
俺はこいつを知っている。
もちろん学年ダントツでモテモテなのはこの俺様だが、柳も俺様の次くらいにモテるかもしれない。
とりあえず、「カッコイイ」ことで有名だ。
だが、内面は散々だな。
柚を泣かせるなんて!
「俺、柳を殴り込みに行こうか?」
そう言うと、柚はぶんぶんと首を横に振った。
そんなに大袈裟な拒否反応しなくてもいいのに。
なのに、
「柊は放っておいて。
もう、健吾君とは関わりたくないの」
柚は涙をこぼしながら言う。
だから俺は言っていた。
「明日、ちゃんと柳と話をするから」
「え?」
柚は俺そっくりの顔を上げ、目をまん丸に見開いて俺を見る。
「明日だけ、チェンジ解除だ」