柚と柊の秘密
いい口実になった。
柚に山形に対する気持ちを知られなくて済んだから。
いや、山形に対する気持ちは、俺が動揺しているだけ。
実はいじめが堪えていて……
っつーか、柚にいじめのこと言っておかないと!
俺は、涙で頬を濡らした柚に言った。
いじめに遭っていること。
かなり暴力的ないじめであること。
真帆ちゃんも春菜ちゃんも味方してくれないこと。
それを聞くと、柚はさらに顔を青くして震えていた。
柚、ごめんよ。
「明日だけ我慢してくれ。
文化祭までに、絶対いじめも解決させるから!」
正義感からそんなことを言ったが……
どうやって解決させるんだ、俺?
俺、抵抗して敵を怒らせているだけで、何の解決にも至ってないぞ。
ま、何とかなるよな。
楽観的にそう思ってしまった。