柚と柊の秘密
山形は大きなため息をついた。
俺の弱い心がピクリと反応する。
そして、
「あんた見てるとマジでイラつく」
いつもの調子で吐き捨てる。
山形の言葉なんて気にしたことがなかったのに、正直へこんだ。
俺が山形を好きだとしても、山形は俺が大嫌いなんだ。
「なんだなんだ?
いつものバトルか?」
周りの部員が囃し立てる。
山形の俺嫌いはサッカー部内でも有名で、俺との喧嘩は名物のようになっていた。
今まではそれでも良かった。
山形なんてどうでも良かったから。
だけど……
今は胸が痛む。
俺、山形に暴言なんて吐きたくない。
「山形、本ッ当に柊のこと嫌いなんだな」
馬鹿。
そんなこと言うなよ。
分かってるけど俺がショック受けるだろ。