柚と柊の秘密





俺は眉間にしわを寄せて山形を見る。

山形も俺を嫌悪のまなざしで睨んでいて。

分かっているのに、ズキッと胸が痛む。




俺が柚の時は、こんな睨まれ方されなかった。

俺を見て、笑って、頬を染めて。

本当の俺だってその目で見られたい。

だけど、それは無理だ。

だって山形は、俺という人間が嫌いだから。





「任せろ。俺様に不可能はねぇ」




平静を装って、いつもの調子で山形に言う。

だけど……

山形の目を見ることが出来なかった。

妙に意識してしまって。

愚かな俺。




なのに山形は、やっぱり俺という人間が嫌いらしい。

オーラだけで相当嫌いなのが伝わってくる。

そして、それに酷くビクビクしてしまう俺がいた。

山形との喧嘩なんて、日常茶飯事だったのに。

嫌われてナンボの女だったのに。

なのに今は、嫌われるのが辛い。



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