柚と柊の秘密
「させねぇ!」
俺は反射的にモップを振り上げ、山形の側に駆け寄っていた。
シャワーが俺を容赦なく濡らす。
こんな俺を見て、浅井と取り巻きが笑っていた。
どうせ、愚かな奴だと思っているんだろう。
愚かな奴はお前らだ。
俺はモップを浅井の目の前に突き出す。
そして、ありったけの嫌悪をこめて浅井を睨んだ。
「いい加減うぜぇんだよ」
浅井は怯むことなく、口元を歪めて俺を見る。
「俺はてめぇを許さない」
俺の足元で山形がぴくりと動く。
「てめぇら全員と戦っても、山形は俺が守る」
かっこいいことを言っている。
そんなつもりはなかった。
心底そう思ったから。