柚と柊の秘密







「お……お父さん……ごめんなさい」




あたしはリビングで仕事の本を読んでいたお父さんに頭を下げた。

謝っても謝っても謝り足りない。

だってあたしは、数百万円を駄目にしたんだから。




お父さんは頭を下げたあたしを驚いて見た。

そして、どうしたのと聞く。





やばいよぉ。

心臓がバクバク言う。

お父さん……

どんな反応するんだろう。






「あたし……お父さんのギターを……」



「?」



「数百万円を……壊しちゃった……」




そう言って、ぶらんと弦の切れた茶色いギターを差し出した。

お父さんはそれを見て、驚いた顔をしていた。



< 53 / 363 >

この作品をシェア

pagetop