柚と柊の秘密
「唯ちゃん。
柚ちゃん、どうしたんだろ」
あたしはリビングにいる、お父さんとお母さんの会話を盗み聞きしていた。
お父さんは全く怒ることなく、怪我はなかった?とあたしの心配をしてくれた。
あたしだったら怒るのに。
だって、数百万円だよ?
「ギター持ち出したり、ギター教えてって言ってきたり。
物心ついて、Fのこと知っちゃったんかな?」
何言ってんだろう。
お父さんは時々馬鹿だ。
あたしがFのこと、知らないはずがないじゃん。
「あー。
興味持たないように育ててきたんだけどなー」
何それ。
興味持たないもなにも、時々地下に閉じこもって練習してるじゃん。
メンバーにも頻繁に会ってるし、ライブだって行ったことあるし。