その瞳をわたしに向けて
言いたい事はあったはずだが、その時の憤りはすっかり冷めてしまっていた


「…………一条さんが帰り際に、自分のチェックミスが原因だったのに、責任をかぶせた形になってしまって申し訳ないって言ってきました」

「へぇ……」

松田は美月の方に目を向けずにおかずに箸をつけながら相槌を打った

「松田さんが私に仕事させなかったのは、一条さんの頭を冷やすためだったって…………杉村常務が」


「…………お前もそう思うのか?」

箸で少し味噌サバを解しながら美月は口を尖らした

「いえ………ミスは私のせいだし、松田さんの指摘はその通りだと思う。常務の言ったことがそうだとしても、やっぱり……ちゃんとしてなかった私が悪い」

「………」

「でも、だからっ何で杉村常務に落ち込んでたら声を掛けてって、意味が分かりませんっ!」

顔を上げて松田を睨むと、松田は逆に笑っていた

「………なんですか?」

「いや、そうだな。杉村常務は余分だったかもな」



< 107 / 432 >

この作品をシェア

pagetop