その瞳をわたしに向けて
レセプションパーティーも無事終わり、暫くすると都内を管轄する営業関連の部署は忙しくなる


その前に気合いを入れるため飲み会が開かれた
会社の上役達の有志でほぼ全員参加


パーティーはどうでしたか?と美月が心配そうに立花に尋ねると、「大丈夫」といつもと変わらない笑顔を返してきた


そして、飲み会が始まった…………が、何だかいつもと違う


飲み会ではいつも何かと働く立花だが、今回は動かず、普段あまり飲まないお酒を飲んでいた


他の課も入れて50人ほどの飲み会は、始まりからそれなりに所々で盛り上がっていて、女子だからって注ぎ回ることもなかった


男性達は食事もそこそこに自分のコップを持ってうろうろと動き出していた


美月といえば、早くから50代以上の部長連中の席の中に座らされ、いつも一緒にいる立花や田中さんとテーブルさえも離れた場所……


もうっ……さっさと理由付けて帰ろう

適当な作り笑いをして、話を合わせていると目に入ったのは、ここぞとばかり松田に近づく女子社員達だった


何人かの若いグループが出来たその中で、田中さんと話をしながらいつもと違う飲み方をする立花を、心配そうに気にする松田がいた


そんな全体が見渡せる場所にいる美月が、何ともつまらなそうに食事をしていると、いつの間に開いていた美月の隣の席にスッと人影が動いた


「お疲れ様、ここ座っていい?」

美月の心臓まで、一気に響くほどの甘い声が頭上から降りてきた


「杉村常務、お疲れ様です」


皆から一足遅れてきた杉村常務が美月の隣に座った
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