その瞳をわたしに向けて
「私、父の会社で暫く仕事をしていた時があるんです。でも、他の人のように達成感とか充実感とか…………どうしても感じることが出来なくて、ただ淡々とこなすって感覚が嫌で続かなかったんです。」


贅沢な悩みだな。どっかで同じような事聞いたような気もするが…………


つまらなそうに溜め息をつく彼女をみて、ふと美月を思い出した。


どこも似たところがないのに、何処と無く入社当時の姿が重なった


「じゃあ、今回は何のためにロスまで父親について来たんだ?」


「…………」

「来ないかって誘われたからか?」

茜はゆっくり首を縦に下ろした。


「でも、なにか興味が持てるかもって思って………」


松田が小さく息を吐いて首を振る

「なにか、根本的に間違ってないか?
興味とか楽しいって感覚は見つけるものじゃなくて、見つかるものじゃないのか?
俺だって始めから仕事が充実してた訳じゃない。やってるうちに自分でやり方や、作り方が分かってきて仕事する楽しさが見つかったんだから」


「……………」


「始めから人任せなところもあるだろ、誰かが助けてくれるって感覚。甘やかされてきた証拠だな」

言われて耳が痛いのか、少しふて腐れているようだった
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