その瞳をわたしに向けて




「今日、もし至らないところがありましたらおっしゃってください。
正直な事を言いますと、松田に一任していた事もありまして、対応不足ではないかと心配しております。」

「いえ、こちらの急な要望にも関わらず、適切な対応に驚いています。
大人げない事をして、申し訳ありません。」


そう言って、松田の代わりに視察を対応した狩野部長に頭を下げる田沼社長

「明日は松田を外せないプレゼンテーションですので、お嬢様は他の社員に任せさせてください。」


娘の茜と待ち合わせのホテルに向かう車の中で、田沼社長と後二日ある滞在中のスケジュールについて話す


「彼は、松田君はかなりやり手らしいね。」

そう言ってふっと息をつき口の端を上げる田沼社長

たまに、こっそり松田に電話をかけていた狩野部長を見掛けた田沼社長に、頭を押さえながら申し訳無さげにする狩野部長。

「上司の贔屓目ではなく、彼の仕事に対する適応対応能力や指導力には正直感心しています。」

そう言う部長にへぇっと目を開く社長


車から降りホテルのロビーで待つ松田と茜を見つけた田沼社長が、ふと足を止めた


「松田君は、独身ですか?」
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