キミに出会うまで
休暇
4月になり、本社には新入社員はこなかったけど、各店舗にはたくさん配属されて、私も新たな気持ちになった。


優樹は、ゴールデンウィーク明けのシステム変更に向けてラストスパートに入っていて、週末以外は一緒にいられなかったけど。


会社に行けば会えるし、週末は疲れを癒すためにふたりでのんびり過ごして、おだやかな毎日だった。




4月中旬の週末、優樹がスマホを私に見せて、


「ここ行かない?」


と誘ってくれた。


画面には、真っ青な海と白い砂。


「もしかして、沖縄?」


「そ、石垣」


「うわー、めちゃくちゃキレイ」


「だろ?」


「でもさ、ゴールデンウィークだと高いんじゃない?」


「高いけど、残業かなりしたから、俺が出す」


「だめだよ、私も自分の分は出すから」


「じゃあ、食事代は俺が出す」


「ワリカンでいいのに」


「俺には甘えていいんだぞ」


「わかった、すごい嬉しい」


「ちょうど梅雨に入る前だし、気持ちいいだろーな」



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