キミに出会うまで
破裂
6月22日の月曜日、優樹のデスクが空席になっているのを見て、優樹が異動になったのを実感した。


異動したばかりの優樹は忙しいみたいで、平日はあまり会えなかったけど、毎日電話してたし、週末は必ず会っていたし、ときどき優樹の家に泊まっていた。


明日香先輩が前に言っていた通り、優樹がいない本社にも少しずつ慣れていって。



あっという間に1ヶ月が過ぎ、もうすぐ夏休みっていう7月下旬の週末。


優樹の部屋で、夏休みの旅行の計画を立てていた。


レンタカーで行こうと考えていて、でもどこにするか迷っていて。


おいしいものは食べたいし、いい景色も見たいし。


幸せな悩みだった。


なんとなく長野方面にまとまって、泊まるとこを予約して。


また、楽しみが増えていった。



そして、明日から夏休みという日。


私は店舗からの問い合わせが重なって、残業していた。


旅行の準備もあるし、優樹には『残業だし、今日はまっすぐ実家へ帰るね』とメッセージを送っておいた。


だけど、思ったよりも早く仕事が片づいたし、置いてあるポーチを旅行に持って行きたかったから、優樹の家に寄ることにした。


最寄り駅で降りて、コンビニで限定アイスを買って、玄関の鍵をあけた。





玄関には、見たことがない赤のピンヒールがあった。











< 180 / 215 >

この作品をシェア

pagetop