キミに出会うまで
それなのに。


てっちゃんは、関西地区の店長たちと一緒にやって来て。


ひとみちゃんからネームプレートを受け取ると、そのまま私のところに近づいてきた。


運悪く、私のところには誰もいなくて。




「優花、ひさしぶり」


こんなとこで、名前で呼ばないでほしい。


黙っているのも変なので、仕方なく、


「お疲れさまです」


とだけ返した。


「なんだよ冷たいな、しばらく会ってないだけなのに」


てっちゃんから目をそらすと、心配そうに私を見るひとみちゃんと目があった。


だけどひとみちゃんは、受付待ちの人がたくさんいて、動けないでいた。



「俺、今日はこのホテルに泊まりなんだ。


会議終わったら、ゆっくり話したいんだけど」


「話すことなんてありませんので」


「そんなこと言うなよ、ずっと会いたかったんだ」



イヤだ。


この場を逃げ去りたいけど、そんなこともできず。


その時、目の前に誰かが入ってきた。


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