キミに出会うまで
「はい、コーヒー」


電話が終わるのを見計らって、テーブルにマグカップが置かれた。


「あの・・・昨日はご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」


「ほんと、仕事のこともオトコのこともさんざん愚痴られて、迷惑だったよ」


「すみませんでした、今度お昼でもごちそうします」


「ふーん、あんなに重いおまえを運んだのに、昼メシだけ?」


「じゃあ、お昼と夕飯とでいいですか?」


「しょーがねーな、俺も月曜から本社だから、オススメを考えとけよ」


「・・・はい」



出費は痛いけど、迷惑をかけたのは確かだから、仕方ない。


「顔だけでも洗ってくれば?


その顔で電車に乗るのは、まわりに迷惑だぞ」


メイクも落とさず寝たんだった。


「す、すみません!


洗面所お借りします!」



さすがに恥ずかしくなって、急いで洗面所に向かった。


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